恭賀新年。今年も楽しく指しましょう。昨年は主に上達のヒントをつらつらと書きました。やや理屈が過ぎたかもしれません。今年はもう少しざっくばらんに、楽しさや効用などにも触れたいと思います。

将棋の歴史を紐解くと、中世の貴族、戦国武将、江戸の家元から近代まで、長らく男の娯楽でした。今も愛好者は男性に偏り、女性のプロ棋士は未だ誕生に至っていません。

表題の「男もすなる」は、紀貫之「土佐日記」の書き出し。男もすなる将棋といふものを、女もしてみむとて……。

将棋は男向きのゲームなのか。女性が将棋を指すと、男性との違いはどこにあるのか(ないのか)。いわゆる女性的な思考や感情は、将棋の指し手にどう影響するのか。これらについても愚考を綴ってみたいと思います。

あっそれから、今年はオンラインショップを開く予定です。どうぞごひいきに。

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フラッシュ暗算をご存知だろうか。モニターに次々と映し出される数字を、瞬時に足していく。頭の中に算盤(そろばん)を思い浮かべて暗算するそうな。

見ているものは同じなのに、解ける達人と解けない凡人……。これ、将棋にもありますね。同じ局面(図柄)を眺めても、終盤の寄せや詰みがひらめく人とそうでない人。脳内将棋盤のスペックの違いでしょうか(笑)。

掛け算の九九で例えると、将棋の九九は簡単な3手詰くらいか。アマ初段なら九九はクリアしたい。プロは30の段くらいまで丸暗記しているのかも。

もちろん将棋の九九を知らなくても対局はできる。けれど「6×7(ロクシチ)、はい42」で済むところを、「えー、6+6+6+…」ではいかにも非効率でしょう。

若い頃の羽生さんいわく、「終盤は800通りのパターンに分類できる」。800の根拠は。「八百(やお)」と掛けているのかも。√800≒28.28だから、上の私の見立てもまあまあでしょうか。

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対局中にしていること。まあ指し手を考えている訳だが、およそ次の三つでしょうか。

〜杁している
評価している
M渋している

それぞれ見ていきます。

〜杁している
知っていることを、過去の記憶を思い出す。序盤の定跡が最たるものでしょう。手筋や格言のありがたさ。知識として、将棋400年の先人の英知を活かさない手はありません。

評価している
形勢判断。現在の状況を明らかにする。中盤では大局観や急所のとらえ方など、直感やイメージに導かれるものも。対局や棋譜並べなど、経験を重ねることで精度が磨かれます。

M渋している
手を読む。未来の推量です。「こうやる、こう来る、そこでこう指す」は三手の読み。終盤では終局に近づくほど、計算の度合が増してくる。詰将棋や必至問題で練習しましょう。

上の三つは別々ではなく、同時並行的に複合的に行われている。突然いい手が「ひらめく!」際のプロセスやメカニズムも、おそらくはそういうことなのでしょう。


あなたは対局中、誰と戦っているのか。目の前の相手に決まっているだろう。本当にそうでしょうか。

あなたが3級だとして、3級の相手と指しているとする。まあいい勝負でしょう。次に初段の人と指すとしたら。なかなか厳しい手が返ってきます。このとき、あなたが指した手に違いはあったか。どちらもあなたなりの読みで指し手を進めたはずです。

つまりあなたはあなたと指している。あなた自身と戦っているのです。あなたの予測より優れた手を指されるから、あなたは負ける。予測より劣った手が続けば、あなたが勝つ。たとえ羽生さんと対局するとしても、あなたが「あなたの読み筋としての相手(=あなた自身)」と戦うことに変わりはないのです。

その羽生さんは、終局後「どの辺りで勝ちを意識されましたか」と問われると、「最後の詰みが見えたとき」などと、最終盤まで難しかったと答えることが多い。強い人ほど楽観しない。疑い深い。きっと頭の中で「羽生対羽生」が戦っているからでしょう。


自分より少し強い人と指す。上達法の一つとしてしばしば耳にします。手筋や大局観が身につく。何とか負かしたいと向上心に火がつく。

将棋には感想戦という美しいしきたりがあります。(指導対局に代表されるように)今指した将棋を振り返り、強い人の読み筋や、局面や急所のとらえ方を知る。相手の発想や思考を「言葉として」聞くことで、より深い理解が得られるでしょう。

首尾よく一番入れば、やる気も一層湧いてくる。やはり勝つ喜び(成功体験)が自信となり、次のモチベーションへとつながります。毎度毎度コテンパンに負かされてばかりでは、心が折れてしまいますからね。

強い人に途中まで互角で指してもらい、最後に勝たせてもらえれば理想的。それって、当レッスンのメソドそのものなんですけど(笑)。この役目もやがてはAIに取って代わられてしまうのかな。


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