指し手にその人らしさが表れる。一局の将棋を指すことは、小さな人生を生きることに似ている。将棋の奥行きや広がりには、人間の営みと相通ずるものを感じます。

目的は目の前の戦いに勝利すること。その過程として、小さな人生を自ら設計し、局面を正しく判断し、勇気を持って決断し、個性や創造性を表現していくのでしょう。

小さな自己実現を重ね、勝ったときの喜びは格別です。負けを悟ったときは、おのが不明を認め、頭を下げるまで。命まで取られることはありません。

勝ち負けがはっきりとした、厳しさをともなうゲーム。勝負の神様はときに気まぐれです。まあ二人で指せば、どちらかが勝ってどちらかが負けるもの。「負けたってええやないの、相手の人が喜んでくれてはる」(内藤國雄九段。母上に慰められた言葉とか)

どうせ一度きりの人生。夢と誇りを胸に、自由に思うがままに生きていきたいものです。人生も、そして将棋も(笑)。

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